簿記論とは企業の経済活動を明確にするための帳簿記録(簿記)の技術と、計算方法を学ぶ科目です。日本商工会議所主催の簿記検定2級程度の知識が必要となります。会計科目である簿記論は必須科目ですので、必ず受験しなければなりません。
簿記論の内容は、同じ必須科目である財務諸表論をはじめとする、法人税法、所得税法等を理解する上で必要不可欠なものです。したがって大変重要な知識となりますので、税理士試験の最初の関門であるといえます。学習時間の目安は450時間位となります。配点は各25点、25点、50点で、合計100点です。
出題は全て計算問題となっています。出題範囲は商業簿記と工業簿記で、複式簿記の原理、記帳、計算、記帳組織です。ただし原価計算は除きます。試験問題は3問形式です。昭和58年の第33回から第1問、第2問は学者、第3問は実務家(現役の税理士、公認会計士)が試験委員として出題されています。
簿記論と同じく、会計科目であり、また必須科目でもあります。財務諸表論でも日商簿記検定2級程度の知識を要します。財務諸表論とは、企業とその利害関係者に報告するための財務諸表の作成方法と手続等、またその背景にある理論を学習する科目です。利害関係者というのは株主や銀行です。株主や銀行は知りたい情報を財務諸表から得ます。
試験問題は計算問題と理論問題に分かれており、配点は各50点、合計100点です。計算問題では貸借対照表や損益計算書等の財務諸表の作成です。これらは総合問題として出題されていますが、この他に個別問題も多く出題されます。いかに確実で迅速な会計処理が行えるかが試験合格の鍵となります。
理論問題は論述形式の出題になります。会計に関するルールや、その背景にある考え方が問われます。企業会計原則と会計原理をしっかりと理解することがポイントとなります。財務諸表論の試験委員は、第1問、第2問の理論問題を学者が、弟3問の計算問題では実務家がそれぞれ出題します。学者、実務家ともに各2名で、計4名です。また、財務諸表論を学習するのに必要な時間は450時間位と考えましょう。
法人税とは法人が事業により得た所得に対し課される国税です。よって、法人税法とは法人税について定められた法律=法人税法の理論と解釈を学習する科目です。税法科目である法人税法と所得税法は必須選択科目です。必ずどちらかの科目を選択しなければなりません。勿論、2科目とも受験しても構いません。
法人税法には、簿記論と財務諸表論の2科目の知識が必要となります。簿記論と財務諸表論の学習を既にこなした方は法人税法を選択すると受験の際に有利です。また法人税法は事業を行っていくにあたって、欠かせない知識になります。ただしボリュームがかなりあるため、税理士試験の難関といわれています。
学習時間は600時間前後を目安に考えましょう。試験問題は計算問題と理論問題から構成されています。主な出題範囲は法人税や租税特別措置法です。計算問題では企業が納付する法人税額の計算といった、実務的な総合問題が出題されています。
理論問題は法人税法の規定についての論述といった基本的な問題から、応用問題まで幅広く出題されています。法人税法の試験委員は2名です。理論、計算の出題の分担に関しては明らかにされていませんが、一人が国税庁法人税課長、もう一人が学者や実務家から選出されています。
所得税は個人の所得に対し課される国税で、所得税法は所得税法という法律についての理論と解釈を学習する科目です。法人税法と同じく、税法科目であり、必須選択科目です.所得税は個人の生活に深く関わっている税金です。非常に身近であるため、実際の実務において必要なる知識です。所得税法は学習するにあたり日商簿記検定2級程度の知識を要します。
所得税法の試験問題では計算問題と理論問題が出題され、配点は各50点、合計100点満点となっています。計算問題は個別問題と総合問題の両方が出題されますが、基本から難易度の高いものまでと出題範囲が広いことが特徴です。
理論問題は2題で、個別問題形式、応用問題形式、もしくは事例問題形式のいずれかの論述になるようです。所得税法の広範囲から出題されます。所得税法は理論も計算も、出題範囲が広くボリュームがあるので、学習時間も法人税同様、600時間前後と考えておいたほうがよいでしょう。尚、所得税法の試験委員は国税庁法人税課長、もしくは学者か実務家から選ばれています。
相続税法とは相続税と贈与税について規定している法律で、相続税は誰かが死亡によって、土地、家屋、預貯金等の財産を無償で引き継いだ場合に課される国税です。贈与税は家や車を購入してもらうなど、財産の贈与を受けた場合に課される国税です。
相続税法は、相続税法という法律についての理論と解釈、死亡した方から相続した財産の計算等を学びます。簿記の知識は必要ありません。計算と理論の関係がとても密接です。学習時間は400~450時間位が目安となります。
試験問題は計算問題と理論問題で、配点は各50点で合計100点です。計算問題は相続税の納付額を算出する総合問題が主で、個別問題が出題されることもあるそうです。総合問題の半数以上が財産評価についてになります。
理論問題は個別問題形式と総合問題形式の出題がみられます。個別問題形式は特定の規定を、総合問題形式では複数の規定を網羅して解答します。相続税法の試験委員は、国税庁課税部資産課税課長と実務家の2名が担当します。
消費税とは商品等の販売やサービスなどに対して課される国税です。価格に5%上乗せされ、消費者が負担します。消費税法はその事業主が預かった消費税の計算、理論等を学ぶ科目です。消費税法は実務において最も重要な知識といわれています。そのため人気が非常に高い試験科目になっています。
消費税法の学習には、日商簿記検定3級程度のの知識が必要となります。また学習時間は250~300時間位を目安に考えましょう。出題範囲のほとんどが消費税法からになりますが、租税特別設置法、国税通則法等も含まれます。試験問題は計算問題と理論問題です。計算問題は事例形式の総合問題が出されます。
この形式は当初から変わりませんが、問題が少しずつ難しくなってきています。損益計算書を基に、売上と仕入の際に発生した消費税額を算出し、二重課税がされてないか差引調整をすることが主な問題となります。試験委員は2名で、国税庁課税部課税総括課消費税室長と実務家が担当します。
酒税は酒類に対して課される国税で、国産、輸入を問わず日本国内で消費されているものは課税の対象になります。酒税法では税率が酒類によぅて違うことから、酒類の定義や原料、製造方法について学びます。簿記の知識は必要ありません。
酒税法は昭和56年に受験科目として加わった、比較的新しい科目です。その後平成元年に消費税が導入され、出題範囲が削減しました。そのため、ボリュームが少なく、また他の税法や会計の知識を必要としないので、短期合格を狙うには最適な科目です。学習時間の目安は150時間位です。
酒税法も計算問題と理論問題からの出題となります。計算70点、理論30点の配点で、計算に重点が置かれています。理論問題は、他の税法科目に比べて理論の台数が少ないうえ、出題も1問のみなので理論をしっかり暗記していればさほど問題はありません。
計算問題ですが、難易度の高い問題はほとんど出題されないようです。原料や製造方法に基づく酒類の判定、国産酒類の製造者が納付すべき酒税額(一月分)の算出が主な出題範囲となっています。試験委員ですが酒税法では、国税庁課税部酒税課長が担当します。
事業税は法人または個人が行う事業活動に対して課される地方税です。法人事業税と個人事業税の2つがあり、法人事業税は会社の商売に、個人事業税は個人の事業について課されます。法人事業税は会社が計算した税金を各都道府県に納めます。個人事業税は各都道府県が所得税の申告内容から税金を算出、各個人で各都道府県にその税金を納めます。
事業税を学習していく上で、日商簿記3級程度の知識が必要です。また法人税法を学習した方は効率的に学習ができます。事業税は計算問題30点、理論問題70点の配点で出題されます。理論問題にウェートが置かれていますから、計算より理論が得意であるとか、理論そのものが得意である方には学習しやすい科目です。
計算問題は納付すべき事業税額を求める総合問題が出題されます。内容のほとんどが基本的なものであるようです。理論問題ですが、ここ最近の傾向では個別問題を前提として出題されています。個人や会社の具体的な事例問題が出されることもあります。なお事業税の試験委員は、総務省自治税務局都道府県税課長が担当となります。
住民税は所得のある個人、法人等に対して、都道府県・市区町村が課される地方税です。地方税法に定められている道府県民税・市町村民税を総称したものです。住民が受ける行政サービスに要する費用を一部住民が負担するのが住民税です。住民税の内容は税法を引用しているものが多く、ボリュームもさほど多くありません。
法人税法や所得税法を学習した方なら勉強が効率的になりますし、実務面においても非常に有益となります。また、住民税法を学ぶ際には所得税法の知識が必要となります。住民税は計算問題50点、理論問題50点の配点となります。個人住民税を出題する割合が多く、法人住民税より個人住民税に比重が置かれています。
計算問題は個人住民税の総合問題が出題されますが、過去に1度だけ法人住民税の個別問題が出題されています。個人住民税は所得税の計算項目の引用が多くあります。理論問題は、住民税の法人税法・所得税法との関連性や住民税と所得税との違い、住民税独自の手続きなどについて出題されます。試験委員は総務省自治税務局市町村税課長が担当します。
固定資産税は家屋や土地、償却資産に対して課せられる地方税です。固定資産税では家屋、土地への固定資産税の軽減置、償却資産の申告手続きや固定資産税評価額の決定手続きについて学習します。また地代や家賃などへの影響もあり、コンサルティング業務を行う上で知っておきたい知識です。簿記の知識も必要無く、人気の高い科目でもあります。
固定資産税では、計算問題と理論問題の各50点、計100点の配点で出題されます。学習範囲がわりと明確ですから、学習しやすい科目といえます。計算問題は個別問題と総合問題で、総合問題は家屋、土地の固定資産額の算出になります。理論問題は2題で、個別理論形式か応用理論形式で出題されます。
過去の傾向では個別問題のみ、応用問題のみ、個別・応用問題が1問ずつの出題だったりと、その年によって違いがあります。他の科目と比較して、理論のボリュームが少ないのも特徴です。試験委員は自治税務局固定資産税課長が担当し、出題します。
国税徴収法とは国税収入の確保を目的とします。つまり納付期限までに納付されなかった税金を聴取するための法律です。滞納者の財産の差押や納税者を保護するための納税の猶予などについて学習します。他の税法科目のように税額の算出などはありませんから、当然簿記の知識も要しません。またボリュームの少ない科目です。
滞納した国税を徴収する仕組みと手続きを理解していくことにより、社会の色々な状況や他の法律との関係も把握することもできます。また、国税徴収法では民法規定も絡んできますが、必要な内容は限られています。国税徴収法は、主に理論問題と短答問題が出題されます。
それに例示問題が続きます。理論の内容が基になりますから理論問題に重点が置かれています。出題傾向ですが、これまでにあまり大きな変化がなく、滞納処分や第二次納税義務、徴収緩和制度、国税と他の債権との調整などが挙げられます。試験委員は国税庁徴収部徴収課長が担当します。