税理士は税務に関するプロフェッショナルです。税理士の仕事には税理士法により規定され、税理士のみが行うことのできる独占業務と、会計、税務に関する業務があります。独占業務は税務代理、税務書類の作成、税務の相談の3つです。税務代理は税法に基づき、クライアントの代理として税務官公署に確定申告、青色申告の承認申請、更正決定への不服申立てを行います。税務調査の立会いも含まれます。

税務書類の作成ですが、こちらもクライアントに代わり確定申告、青色申告承認申請書、不服申立書等の税務官公署に提出する書類を作成します。税務の相談は、相続、贈与、所得金額や税額の計算等の税法上の相談、または指導を行います。

会計、税務に関する業務とは、財務書類、会計帳簿の作成と記帳、会計業務の代行や指導等のことです。因みに平成17年の会社法成立により、会計参与は税理士(または公認会計士)でなければ認められないとされています。税理士の仕事には各種コンサルティング業務もあります。

主に中小企業に対して経営改善やマーケティングのアドバイスをする経営コンサルティングをはじめ、大手~中堅企業では部門ごとに会計、財務、税務に特化した専門のコンサルタントを必要としていることもあります。また、新たな法律の施行や改正により、税理士の仕事が広がっています。

2006年5月の会社法施行により、【会計参与】という株式会社の機関の設置が認められるようになりました。会計参与は、会計の専門家として、企業経営に企業の内部の立場から関与できるのです。平成14年に発足した税理士補佐人制度により、政務訴訟において弁護士の補佐人として法廷に立つことが出来るようになりました。未だ件数、勝訴率ともに下火傾向にありますが、確実に広がっています。

税理士の労働形態ですが、開業税理士、事務所内税理士、企業内税理士等が挙げられます。現在約8割の税理士が独立開業しているといわれています。独立開業は税理士の労働形態として一番ポピュラーであり、ほとんどの税理士が目指しているところでもあります。独立開業でも実務経験を積んでいくことで顧客を十分獲得することが出来ます。仕事のあり方、収入、コネクション等全てにおいて自分の手腕を発揮でき、大変やりがいがあります。

ただしそれゆえ個人によって収入の差が大きいともいえます。事務所内税理士は税理士事務所や公認会計事務所に所属します。クライアントの要望に応じて税務を手掛けます。中小事務所では一般的に、何年か経験を積み独立、というケースが多いようです。実務未経験でも数科目合格していれば採用の対象になるので、事務所で経験を積みながら勉強、ということもできます。

企業内税理士は主に銀行、証券会社、保険会社等の金融機関に所属する他、一般企業の経理、財務部門に所属し税に関する業務を担います。一般企業と比較しますと、金融機関の方がより複雑な知識を活かすことが出来ます。最近では企業のM&A(買収・合併)というような専門的な業務に携わることもあります。もちろん一般企業に勤務した場合でも、身近で頼れる税務のプロフェッショナルとして、財務諸表や各税務申告書の作成などを担当します。

さて、気になる税理士の年収ですが、まず開業税理士の平均が約2700万円です。500万円未満~とやはり年収にはバラツキはありますが、2億、3億円という税理士も実際に存在します。努力次第と腕次第で高収入も不可能ではないといえます。事務所勤務税理士の年収ですが、中小税理士事務所で平均約350~500万円、大手税理士法人で400~1500万円です。

中小税理士事務所の場合、独立までの修行の場であると考えるとこれ以上は望めませんが、ボスとタッグを組んで手腕を発揮していこうというのであれば、これ以上の収入も期待できます。企業内税理士の年収は、金融機関勤務で平均約400~1300万円、一般企業勤務で平均約400~1500万円となります。金融機関勤務の場合、税理士資格を取得することでキャリアの幅が広がりますから、更なるキャリアアップや転職で高収入を見込めます。

一般企業の場合、専門知識へのプラスアルファや資格手当等が期待できます。この他、コンサルティング会社に勤務する場合、年収平均約500~1200万円です。これは元々金融機関や一般企業でのキャリアを積んだ上で転職をした場合です。転職した後に実績を重ねていけば更なる高収入も狙えます。

税理士になる方法なる方法として、最も一般的であるのが税理士試験全11科目もうち、5科目合格するという方法です。一部必須科目があるものの、科目を選んで受験でき、一度取得した科目は生涯有効となります。1度に5科目全て合格しなくても良い上に、どの科目から受験しても構いません。

大学院へ進学し、修士号を取得した方は条件を満たせば試験の一部が免除されます。条件とは、商学、法学、経済学のうち財政学の学位を持っていることです。ただしそれぞれ必要な修士論文を作成し、関係する科目1科目に合格する必要があります。博士号取得者の場合は、会計学に関する研究で学位を取得した方は会計系2科目が免除、税法に関する研究で学位を取得した方は税法科目3科目が免除となります。

また税務署OBという、税務署に23年勤務した方ですと、試験を受けることなく税理士資格を取得できます。税理士の平均年齢が他の職業に比べて恒例でるのも、こうした制度があるからです。税務署や国税局から顧問先を紹介されるなどのかなり優遇されますが、顧問先は2年で返さなければいけないなどの規定もあります。

弁護士、公認会計士も税理士資格が与えられます。それぞれの専門的知識から、税理士に必要である知識を持っていると認められているためです。なお税理士業務を行う際は日本税理士会連合会の、税理士名簿に登録し、事務所の所在地にある税理士会に入会する必要があります。

また試験合格者が登録するための条件として、実務経験が2年以上必要です。実務経験が無い場合は租税・会計に関する業務を経験しなければいけません。雇用形態はアルバイトでもパートでも問題ありませんから、会計事務所などで働きながら勉強するのも手段の一つです。

税理士の魅力ですが、まず税務という専門分野での独占業務であり、顧問先が存続する限り、仕事が無くならない点があげられます。また定年が無いので、年齢を気にせずに働くことが出来ます。実際、税理士全体の過半数が60歳以上と、ベテラン税理士が占めています。男女格差がなく、女性税理士の開業率が高いのも魅力の一つです。

そして税理士の一番の魅力といえるのが、独立開業でしょう。現在、税理士の8割が独立開業しています。正に自分が主役であり、全て自分の力で進めていくのですからやりがいは十分です。努力次第で高収入も狙えます。税理士の将来性についてですが、近年、税理士法の改正に基づき、税理士法人の設立が認められました。これにより、税理士が複数で税務業務会社を設立、チームで業務を請け負うことが可能となりました。

この他にも税理士法の改正では、税理士補佐人制度を発足したことにより、税務訴訟の際に弁護士の補佐人として法廷に立つことが出来るようになりました。今後この税理士補佐人制度を浸透させようと、注目している税理士が増えています。

経営コンサルタント業務はもちろん、中小企業のIT化に伴う導入や電子申告(e-TAX)の導入をサポート、推進するITコンサルタント業務や会社法施行により加わった会計参与により、税務、会計の専門家としての知識を活かす場が広がっています。このように税理士の将来性は時代とともに高まっており、将来性にともなって、税理士の魅力も一層増しています。

税理士と公認会計士、一体何が違うのでしょうか。公認会計士は監査法人という組織で仕事をします。大企業相手の仕事がほとんどです。それに対して税理士は、顧客の中心が中小企業で、個人が主体となって仕事をしていきます。また、他に公認会計士試験に合格していれば税理士になることができますが、税理士試験に合格しても公認会計士にはなることが出来ない、という税理士と公認会計士の大きな違いがあります。

税理士と公認会計士は、試験の制度にも大きな違いがあります。公認会計士試験の2次試験は合計7科目です。そこに近年、短答式の試験が加入され、これに合格しなければ次の論文式の試験を受けることが出来ません。2次試験に合格した後、実務経験を積んでから3次試験が待ち構えています。これに合格して初めて公認会計士となります。

税理士試験は科目合格制度が設けられているため、1科目づつ合格していくことが可能です。そのため、受験の計画が立てやすく、在学中や働きながら、子育てをしながらでも受験勉強がしやすいといえます。公認会計士は7科目全て一度にクリアしないと合格になりませんから、働きながら勉強をしていくのは難しいといえます。実際、在学中から公認会計士を目指し、3~4年受験勉強に専念する受験生がほとんどのようです。

試験内容、制度、受験から合格後まで、税理士と公認会計士の違いはかなり大きく、公認会計士試験は超難関ですが合格すれば税理士になることができますし、ライフスタイルを考慮して受験計画を立てるという点では税理士試験はとても効率的であるといえます。

税理士資格と相性の良い資格として、ファイナンシャルプランナー、行政書士、社会保険労務士、中小企業診断士が挙げられます。ファイナンシャルプランナーはライフプランの設計が仕事です。税理士とファイナンシャルプランナーの業務は、相続、節税、資金繰り、税金、保険など直接関連してくるものが多く、ファイナンシャルプランナーの資格を取得すれば、税理士業務に非常に有益となります。

行政書士は法律に関する身近な相談相手として行政書類の作成、代理を行います。税理士となる資格があれば、行政書会に入会できるため、税理士が他士業資格として保有する率が最も高いのも頷けます。社会保険労務士は社会保険・労働保険の加入手続や厚生年金に関する業務等を行います。税理士資格と社会保険労務士は重なる点が多く、税理士が社会保険労務士の業務を付随して行うことができます。

ただ、提出代行と事務代理は付随業務に含まれないという決まりもあります。中小企業診断士ですが、この資格を取得する際に税理士資格があると、科目免除の対象となるので、税理士資格がとても有利に働きます。また中小企業診断士の資格を持っていればコンサルタント業務に携わる際の信頼度が格段に違います。